家庭で行う難病小児や認知症のケアについて
2024/02/02
家族に難病を患った小児や医療的ケアを有した小児、認知症を発症した高齢者がいる場合、必要なケアやサポートを提供することは、家族にとって大きな責任であり、同時に大きな負担でもあります。しかし、必要な支援を受けながら、適切な情報を得ることや正しい方法でケアを行うことで、家庭での生活をより快適にし、負担を軽減することができます。本記事では、そんな難病小児や認知症の患者に向けた、家庭でのケアについて紹介します。
目次
家庭での医療的ケア児・難病小児ケア
家庭での医療的ケア児や難病小児ケアは、訪問看護において非常に重要な役割を担っています。日本の医療が進み、新生児生存率は全世界で1位です。病を持ちながらも、適切な医療処置を行うことで、生きていくことができ、また、成長をすることができるようになっています。そうして、医療技術の発展は医療的なケアを有しながらもご自宅で生活することを可能にしています。また、異なる側面としては病院は急性期に高度な医療を提供することで、失われる命をできるだけ少なくする。その為に、病床を動かすことができるように保つ必要に迫られているのも現状です。家族が生活する場所である家庭において、医療的ケア児・難病小児の健康管理や医療行為を行うことは、家族にとっては大きな負担となります。そこで、訪問看護師が家庭を訪問し、医療的処置の実施や、管理方法の支援と言ったケアを提供することで、自宅での生活を継続することが可能となります。その為には、本人はもちろん、子育てをする両親や祖父母、兄弟児等に必要なサポートを提供することが求められます。 訪問看護師は、医療的ケア児・難病を有した小児の病状や治療法について深い知識を持っており、医師や薬剤師と一緒に協力して治療計画を立て、サポートを実行していきます。また、医療行為だけでなく、日常生活面での支援も行い、家族が安心して生活できるようにサポートしていきます。 家庭での医療的ケアの実施や難病小児ケアにおいて、最も大切なことは24時間ご自宅で療育を継続するご家族の支援を行うことです。その為には、家族との良好な関係性を構築することが必須になります。訪問看護師は、家族と対話を重ねながら、ご家庭での難病小児ケアに適した環境を整え、家族が支援しやすい方法を提供していきます。家族と協力しながら、難病小児が家庭で生活するために必要なサポートを提供し、家族の負担を軽減することが、訪問看護師の使命です。
家族が知っておくべき認知症のサイン
認知症は、人生の中で誰にでも起こり得る病気です。特に高齢者に多いため、家族が早期に気づき、適切に対処することが重要です。認知症の方は自分がものを忘れてしまうことに気づいており、それを不安に感じながらも周囲に伝えることができず、お一人で悩んでいることも少なくありません。家族が認知症について理解をしており、日々の生活の中でその変化に気づいてサポートをすることが大切になってきます。家族が知っておくべき認知症のサインとしては、何となくボーとしていることが増えてきたと言ったことや、物忘れが多く亡くしたことを自分ではなく周囲のせいにして『誰かにとられた』と言ったりします。朝話したことを、すぐに忘れてしまうと言った短期記憶力が低下していること、時間や場所の感覚が鈍っていること、これまでとは異なる意見や認識を示したり、言葉の混同、何となく身体の調子が悪いことなどが挙げられます。これらのサインを見逃さず、早期発見することで、予防的なかかわりを行うことができ、認知症の進行を抑えられることや、必要な支援を早期に受ける事で、ご家族の介護負担の軽減がはかれます。また、ご家族だけで抱え込まずに、訪問看護を利用することで看護師は、家族や患者を支援するために様々な情報やアドバイスを提供してくれます。認知症はだれもがなり得るものであり、不安になるだけではなく、認知症に関する知識を深め、早期発見・対処につなげることが大切です。
認知症の方の生活・食事管理
認知症の方は、日常生活の中で様々な困難に直面します。日々の生活に使用をきたすことも多くあります。また、発症の早期には調理ができなくなったり、味付けが変化してくることがあります。訪問看護師は、認知症の方の状況を本人やご家族から情報収集をしながら、相談を受け、適切な指導、アドバイス、サポートを行うことが求められます。認知症の本人が困っている生活状況や、内服管理・食事面の管理など具体的な支援を必要とすることも少なくないです。生活リズムを整えるような支援を行ったり、食事管理においては、献立の提案や栄養バランスの調整、食事量の調整、誤嚥予防のための食材の刻みやすりおろしなどが必要です。また、食べ方に関しても、食事時間や量の管理、食器や、場所の選定なども重要です。認知症の進行による変化に合わせ、適切な支援をすることが日々の生活を維持することにつながります。訪問看護師は、認知症の方とご家族に寄り添い、安全安心して日々の生活を継続することができるよう、その中でも健康管理ができるように必要な援助を行うことが重要です。
医療的ケア児・難病小児を支える地域の取り組み
医療的ケア児・難病を患う小さな子どもたちは、家族だけではなく、医療者や周囲の療育に関する支援、教育発達に関する面での支援など、多くの支援を必要とします。地域によっては、保健師や児童発達支援に係る専門家も含めて、訪問看護師なども共に積極的に関わり、子どもたちとその家族を支援する取り組みが進んでいます。例えば、看護師が週に一度、自宅に訪問して子どもたちの健康状態をチェックしたり、適切な治療法や食事法などをアドバイスしたりする場合があります。また、地域の医療機関や保健師、福祉施設とも連携し、継続的な支援体制を構築することも大切です。地域の人々が力を合わせて、医療的ケア児・難病を患う子どもたちとその家族を支えることで、安心して生活することができる環境を整備することが目指されています。しかし、様々なサービスはまだまだ量・質ともに十分とは言えません。それぞれの成育環境により必要な支援やサービスへの連携などを行うことが求められます。
家庭での認知症患者の適切な介護方法
認知症の方は、日常生活での判断力や記憶力が低下するため、家族にとっては介護が必要不可欠です。そこで、家庭での認知症患者の適切な介護方法について紹介します。 まず、認知症患者にはゆったりとした時間とスペースを与えることが大切です。急かしたり、圧迫感を与えると不安を強めることになります。また、常に同じルーティンを実施することで、患者が安心感を得られるようにしてあげましょう。 また、認知症による自己管理ができなくなるため、家族が適切な食事や生活習慣を提供することが大切です。食事の栄養バランスや飲水量、睡眠時間、運動量などを調整し、健康状態を良好な状態に維持するようにしましょう。 そして、認知症の方は外出時に迷子になることがよくあります。そのため、家族が付き添って外出するか、GPS monitoringのようなシステムを利用することによって、安全な外出を実現するようにしましょう。 以上が、家庭での認知症患者の適切な介護方法の一例です。それぞれの症状や家庭の事情に合わせて、カスタマイズされたケアを提供することが求められます。訪問看護による医療的なアドバイスやサポートを受けながら、家族と共に本人のQOLを向上させていきましょう。